しなやかに生きる

雪解けが進む栃尾又温泉では、冬の間、雪の下にひっそりと隠れていた木々が、少しずつ顔を出し始めました。
それらは名もなき雑木たち。木材として使われることもなく、私たちの暮らしの中で、ほとんど名前すら知られていない木々です。

けれども、この雑木たちのしなやかさに、私はひそやかな美しさを感じるのです。
雪の重みに身をしならせながら、じっと春を待ち、やがて訪れる陽光の中で、ピンと背を伸ばし、深々と葉を茂らせる——その姿は、柔らかく、そして逞しい。

人はよく、背が高く、大きな木を「立派だね」と讃えます。
もちろん、樹齢数百年の大木には、重厚で圧倒的な魅力があります。
太く、大きく、ちょっとやそっとではびくともしない、まさに「強さの象徴」です。

けれども、雑木たちはそれとは異なる、別の強さを見せてくれます。
曲がっても、折れても、それでもなお、春になればすっと立ち上がる。
それは、「しなやかさという強さ」です。

4月も中旬を迎え、いよいよ山々が芽吹きの時を迎えようとしています。
山の生命力が満ちあふれるこの季節、どうか皆様も健やかにお過ごしください。